こんにちは、駐車場予約アプリ「akippa(あきっぱ)」広報の石川です。
この記事を開いていただきありがとうございます。
先日の記事で、akippaのバリューについて取締役の松井にインタビューさせていただきましたが、実はその話の中で「全体最適」という言葉が出てきました。
今回は、松井が「全体最適」という考え方を知ったきっかけでもあった相手、取締役COOの杉村と取締役CHROの松井へのインタビューを行いました。
「全体最適が何か」を考えることが一番最速で目的を達成する方法
石川
今日はよろしくお願いします!
まず、「全体最適」とは何か教えてください。
組織全体として最速で目的を達成するためにはどうしたらいいかを考え、判断し行動することです。もちろん、部分最適が適切な時もありますが、シェアリングサービスであるakippaにおいては、駐車場オーナーさんとユーザーさんの双方がいるので、総合的に考えて判断することがキモになるのではないかと考えています。
杉村
石川
具体的にはどういうことでしょうか?
部署によって目の前にいる向き合う相手は違いますが、目指すゴールは同じということです。
例えば、akippaではマーケはユーザーさん、営業はオーナーさん、広報は広く世論といった形でそれぞれ別の関係者と日々話していますが、目指すのは売上を最大化して事業を伸ばし、“なくてはならぬ”をつくるというところで共通なんです。
営業に関していうと、定量目標としている指標の一つに駐車場数がありますが、営業先でのオーナーさんとの会話が「空いている駐車場を掲載しませんか?」ではなくて、「ここに駐車したいというユーザーさんのニーズがあるからakippaに掲載させてもらいたい」という言い方になるのではないかなと思います。
杉村
石川
なるほど、確かに皆目指すところは同じですよね。それが見えているか否かで今見えるものも異なってきそうですね。
昨年やっと気づいた「早い」の意味
石川
杉村さんが「全体最適」が大事な概念だと考えているのは、何か経験でもあるのでしょうか?
もはや自分の性分でもあるのですが、思い返してみると原体験に基づいているんだろうなと思います。
こうやって話すのは恥ずかしいのですが、昔の話になりますが、小学校の頃、成績もスポーツも比較的トップクラスにいて生徒会長もやっている子供でした。それが中学で進学校に入って初めて負けたんです。クラスの中でのポジショニングがわからなくなって、クラス全体での役割というのを考えるようになりました。大学に入り、サークルで部長を務めたときにも全体感を考えて行動したらうまくハマりまして、これが原体験になっていると思います。
その後、新卒で入社した会社、転職して入った会社でも常に「全体最適」を意識して行動していました。短期的な売上増加には繋がらないかもしれないけれど、こうした方が最終的には会社のためになる、と思ったことは主張し続けていました。
杉村
石川
なるほど、学生時代の原体験が、社会人になってからの考え方の根底にあるわけですね。
松井さんは何かありますか?
今、が濃厚ですね。昨年、杉村や他の経営陣とディスカッションする中で理解を深めた気がします。
akippaのミッションである、世界一の“なくてはならぬ”をつくるためには、今ある世界トップクラスのサービスのように、数万人規模の組織つまり、サービスに関わる人々を社会として捉え、物事を進める技術がないと実現できないんだということに気づきました。
会社設立から10年が経ちましたが、2014年に広田が入社するまで「全体最適」という考え方は社内には皆無でした。だからこそ、事業をスケールさせる方法や流行をつくってグロースハックする方法がわからない。方法論やテクニックの知識は書籍などでも読んで学びましたが、実体験がなかったんです。
広田や杉村をはじめ、大きな会社にいた人が次々と中途入社してくれるので、その人たちに任せれば大丈夫だろうと思っていたのですが、それは間違っていました。これまでの経営の体質と中途の経験をちゃんとマージしなければいけなかったのですが、それができずにただ任せるだけになっていたのでうまくいかなかったんですね。
松井
何が合わなかったかと言うと、一番のキーワードは「合意形成」です。そもそも「合意形成をとる」という言葉自体も知らなかったですからね。
一つのアイデアがあって、自分たちはそれが得意だから進めたいと思っても、そこには関わる人全ての納得感が必要で、それぞれの納得感を得るためには然るべき承認フローや職務権限といったプロセスを経た上でないと合意形成できない。この重要性がわかったのが昨年末くらいでした(苦笑)。
せっかちな自分としては、最初は全く理解できなくて「やればええやん」ってずっと思っていました。でもそれをやるためには全ての人の意思統一、心構えが必要で、それが揃った上でないと進められませんでした。なんとなく手応えとして感じてきた時に「これが最短なのか」とやっと気がつきました。その一連のプロセスを踏むことによって阿吽の呼吸で一気に進むようになるし、仕事上の信頼感というものにも繋がると思いました。
これが僕の「全体最適」の原体験です。
この経験を経て、今は、もう少し大きいことをやるとしたらもう少し時間をかけないといけないだろうな、といった感覚がついて、一つの企画を進めるために必要な時間を見積れるようになりました。
松井
石川
なるほど。何か腑に落ちたタイミングでもあったのですか?
杉村から一言「早い」と、それだけ言われたんですよ。
松井
石川
早い??
「急ぎすぎ」「今じゃない」ということですね。言っていることは正しいけどそうじゃない、という感じで。
早いのは悪いことではないので、理解するのに時間がかかりました。
もう少し理由や補足が欲しかったですね(笑)
松井
(爆笑)
杉村
実際には深くは教えてもらえなかったので、こんな意図を含んだ上での「早い」だったんだろうな、と僕なりに理解していました(笑)。
理解した上で、「早い」も機能として、一つの武器として残していきたいですね。
中途で事業をスケールさせたことがある人は、こういう合意形成や全体最適の概念や経験があって理解できると思うのですが、そういう経験のない人もakippaにはいます。営業会社時代から新卒で頑張ってくれている人、大手企業から中途で入った人など、バックグラウンドがさまざまな人がいる会社なので。
だから、この考え方を知らない人には知ってもらいたいし、逆にわかる人には全く知らない人がいることを知ってもらいたい、と思いました。
例えば、新卒で大きな会社に入っている人はこの考え方を当たり前に知っているので、知らない人がいること自体に気づけないと思うんです。
松井
石川
まさに先ほど語られていた昨年のお二人のようですね!(笑)
そうなんです。お互いのことを細かいところまでを知る機会があれば、何事においてももっと良くなると思います。「何がわからないかわからない状態」ってあるじゃないですか。そこを解きほぐすことができればもっと物事が良くなるだろうなと思っています。
松井
新しいサービスを立ち上げたり企画を作ったりする時、アイデアとしてはよくても計画が中途半端だと後から手戻りが発生して結局余計に時間がかかるんですよね。複数人の合意形成をはかると色々な視点が出てきますが、それぞれの視点で見たときに少しでも違和感がある場合は、最終的にクリティカルな問題になることも多いんです。結局イチから作り直すことになると余計に時間がかかります。
逆に、その違和感を一つ一つ潰しながら進めると、結果早くできる。だから最初からきちんとロジック立てて考えることが大事だと思います。
杉村
石川
急がば回れ、ということですかね?
ですね。
松井
一歩引いて俯瞰すると、見えてくるものがある
石川
先ほど松井さんも仰ってましたが、概念の方法論を学ぶことはできても経験することはなかなか難しいのではないかと思います。会社として「全体最適」を浸透させる施策などは考えているのですか?
HRとしては、メンバー各々の生産性を最大限に生かせるように組織の面からサポートします。「全体最適」の観点は、今期改善し発表したバリューにも要素が含まれていて、例えば“Think and Rush”とエッセンシャルバリューの”ホスピタリティ”が該当すると思っています。
松井
逆に事業側ではどうやって浸透させるのが良いと思いますか?
松井
そうですね、、喫煙所などでのちょっとした会話で日々の課題を聞くことがあるのですが、「一歩引いて相手のこと考えてみて」とアドバイスするんです。そうして相手の立場や全体感を見ると、相手の行動や言動も違う風に見えてきて、解決することもあるんですよね。
そういうアドバイスができるようになるといいですね。
杉村
なるほど。HRから全体周知も行いますが、やはりこういうのは1on1ですね。マネージャーとメンバー間のコミュニケーションで、温度とか熱量とセットで伝え合うことが理想かと。
松井
石川
マネージャーからアドバイスするのももちろん大事ですが、メンバーからそもそもその悩みを言ってもらえないと気づけないこともありますし、悩みがわからないとマネージャーとしてもアドバイスできないので、自由に発言できるような環境は欲しいですね。
かつ、全体感を俯瞰してみてもその人が持っている情報量によって見えたり見えなかったりもするので、情報も必要ですね。
杉村
発信できる環境とそれを情報としてストックできるものですね。分かりました。バッチリHRで用意します。
バリューでいうとこの類の話は、“Think and Rush”に含まれているんですけどね。特に“Think”の部分。
直線で走った方が早いと思っていても、もしかしたらその道には落とし穴があるかもしれないですしね。落とし穴があることを知っていたら多少遠くても迂回して走った方が、結果としてゴールに着くのが早い。ただただ筋トレして走って・・の繰り返しでは芸がないので。
松井
石川
わかりやすい!
俯瞰してみることで見える景色がありそうですね。
もっと言うと、エッセンシャルバリューの“ホスピタリティ”を持ってコミュニケーションを図れるとなお良いですね。
松井
最後に一言
石川
最後に、COO、CHROとして従業員へのメッセージをお願いします。(公の場を借りて社内向けですみません。)
自分たちの個々の目標は追い求めつつ、他に関わる人にはどういう人がいるか、それぞれどういう思いで取り組んでいるのかということを理解した上で、感情的になるのではなく、会社としてうまくいくことを考えて動いてもらえればと思います。そうすることで結果として会社全体が最適な方向へ成長していけると思います。
杉村
ですね。全体理解と自己理解の両方が必要だと思いますし、HRでは理解するためのサポートができたらと思います。
一方でどうしても感情的になってしまうのが人間です。
喜怒哀楽を一緒に分かち合い助け合えるチームでありたい。そう理屈で理解しているので、自分でコントロールできない時はいつでもなんでも相談してください。飛んでいきます。
客観的意見で一旦落ち着くためのお手伝いをしたいと思います。
松井
綺麗にまとめますね。
こういうのが得意ではないので私が言ったことを咀嚼して解釈できる人にしか伝わらないんですよ(笑)
杉村
はい、知ってます。
誰よりも純粋で少年の心を持っているのが杉村さん。なんならでっかい赤ちゃんです。だからHR始めました。
松井
(爆笑)
杉村
石川
(笑)
ありがとうございました!
とっておきのポーズをお願いしたところ、この真顔ポーズをいただきました。少年の心、忘れていないですね!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
松井 建吾
取締役 CZO
1986年生まれ。大手通信キャリアの業務委託企業にて営業を経験し、2010年4月にakippaへ入社。2012年より取締役となり、akippa事業の新規創出や、各事業チーム・HRの立ち上げを歴任。現在はChief ZeroIchi Officerとして新規事業の立ち上げを担う。 事業・チーム・支社など何でも立上げる事を行う「ゼロイチ屋」。趣味は妄想。メタの上のメタを考えて大体いつも頭がぐるぐるになっている。
杉村 大輔
取締役 COO
1980年生まれ。新日本監査法人、東証一部上場企業の取締役管理部長を経て2016年に弊社へ入社。現在は事業責任者として会社を支える。公認会計士。
石川 絢子
広報
慶應義塾大学卒業後、インターネット広告代理店、グリーを経て2018年4月にakippaへ入社。グリー時代は新規事業立ち上げや管理系業務、広報など幅広く担当したが、現在akippaでは広報マネージャーを担当。
趣味は旅行で年間3回海外に行くことを目標にしている。