akippaは2020年からスタートし、今年で4年目となる大阪府(八尾市、堺市、門真市など)で開催されるオープンファクトリー「FactorISM(ファクトリズム)」の公式駐車場運営を初めて実施することになりました(※1)。開催に先駆けて、工場の意気込みや交通課題を知って貰いたいと考え、ファクトリズムに関わる方々にインタビューをしました。
第二回目となる今回は、祖父の代から三代続く町工場の三代目赤坂兵之助さまにお話をお伺いしました。
(※1)プレスリリースURL
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000405.000016205.html
・赤坂金型彫刻所さまの工場の歴史について教えてください。
歴史の始まりは祖父が戦前に「仏像を彫りたい」と考えたのがきっかけです。元々、和歌山の海南出身で医者の家系でしたが、祖父は医師としての仕事に興味がなく職人としての仕事がしたかったみたいです。戦前に仏像などを掘って職人としての腕を磨き、戦後に「日本の復興のために仕事をする」という考えから産業工業に移ったことで今の工場の原型がスタートしました。
祖父はとても苦労したようで、戦争も経験したことに加え、仕事で左手を無くしてしまったのですが、「片手を失ったくらい」では仕事を諦めず、自分で左手に変わるものを自分の工場のあり合わせの材料で作り、仕事を続けていました。仕事への情熱・執念は尋常では無く、その歴史を現在の工場のロゴに「情熱の赤色」として表現しています。
その事故があった後、祖父を継いで父が二代目となり近代化の道筋がつきました。父は学校の教師をしていましたが、祖父の情熱に感銘を受け、継ぐことを決意したようです。三代目となる私は父の仕事を手伝いながら、工場の仕事に自然にのめりこんでいきました。父が導入した近代的な機械を触ることはとてもワクワクした思い出があります。父からは「継いでくれ」とは一言も言われていないですが、自分にとってはとても好きなことだったので、自然な形で継いだ形となります。
・工場で作っているものについて教えてください
繊細で精緻な金属加工を得意としています。彫刻や造形において初代から受け継いできた「半月一枚刃」を用いた『赤坂式半月彫刻法』による「完全金属削り出しアクセサリー『cocur(コクール)』」を2020年から展開したり、特殊な部品加工(企業や大学研究室向け)や、射出成形金型、打刻印などを製作しています。今後は海外展開を踏まえた活動をしています。
・ファクトリズムに参加する理由、参加して良かったことを教えてください
ファクトリズムには拠点である「みせるばやお」で運営を担ってくださっている方からお声がけいただき、2020年の初年度から参加しています。当初は正直に言うと「何をすれば良いのか分からないが、まずやってみよう」という状態からスタートしました。「八尾市がやるのなら楽しいだろうな」という気持ちでした。初年度での弊社ワークショップ開催は1日だけでしたがすぐに満員になり、もっとたくさんの来場者に来て欲しかったのですが受け入れることが出来なかったという反省がありました。
2023年の今年で4回目ですが、4年間続けてみた結果「ものづくりの仲間(他の工場など)が増えた」というのが非常に大きな収穫でした。これまで自分たちではできなかったことも、双方の技術を紹介し融合し合うことで、できることの幅も増え、相乗効果で連携していけることはありがたいです。
今年は堺市の株式会社河辺商会さまと一緒にワークショップをしますが、そういったお声がけをいただく機会となっていることは本当にありがたいです。結果として来場者の方に知っていただくことで受注や採用に繋がるきっかけになればと考えています。
・オープンファクトリーにおける交通課題や今回、akippaに期待することについて教えてください。
普段から、自社の駐車スペースでは「軽自動車2台」が限界です。大型車だと1台しか停められません。周辺にはコインパーキングも無く、とても困っています。一方で空いているスペースは周辺にありそうなのでakippaのようなサービスで貸し出されるととても助かります。ファクトリズムの期間だけでも「周遊バス」のようなものがあればとも思います。
良い手段が無いので、車の来場者は受け入れられる人数も限られていますが、本来は最低でも数台分の駐車スペースは準備したい、というのが実情です。akippaではこの交通課題の改善に最も期待していています。
また、「元気が良くてものづくりが好き」で「人との交流が好き」な人に技術を継いで欲しいと考えています。来場者のakippaユーザーの方が興味を持ち、将来的に四代目として事業継承に繋がるといったような形になればとても嬉しいです。
・最後に、2025年大阪・関西万博開催に向けて意気込みを聞かせてください。
2020年のスタート時に「2025年の万博まではまずしっかりやっていこう」と参加者同士で話をしてきましたがいよいよ、2年後となってきました。2023年の現在、小さな波がとても大きな「うねり」となってきたことを実感しています。今年のファクトリズムでは「2万人が来場する」と言われていますが来年以降も更に拡大していくと思います。2025年に向けて自社でも会場を広い場所に変えるなど検討しています。更なる拡大を考えるととてもワクワクしています。
「FactorISM2023(ファクトリズム)」の概要と交通課題の背景
「FactorISM2023」は、大阪府八尾市を中心とした、町工場でのものづくりの現場を体験・体感してもらうイベントです。2022年は「触発」をテーマに合計8エリア(八尾市、堺市、門真市など)の企業総勢60社の協力のもと、ものづくり体験などの催しが行われ、来場者はリアルで9,000人以上、オンラインを含めると20,000人以上となりました。
2023年は「視線」をテーマに80社以上のまちこうばが参画し、10月26〜29日、11月2〜4日(堺エリアのみ)の6日間で開催予定となり「工場見学ツアー」「ワークショップ・ものづくり体験」「トークセッション」「アート展示」などのコンテンツを計画しており、今年はさらなる盛り上がりが予想されます。
「FactorISM」は会場が複数のエリアに点在しており、来場者の多くが車での移動を希望しています。しかし、各会場は日常的に人が集まる場所ではないため、来場者用駐車場が足りておらずイベント時の交通課題の中でも駐車場は大きな課題の1つとなっています。
田中 大貴
事業企画
大阪府立大学を卒業後、新卒で「Tポイント」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に入社。事業企画、営業、合弁会社の設立などを幅広く担当。2016年1月にakippaに入社後は営業チーム、運用チーム、ダイナミックプライシングチームのマネージャーを歴任し、現在は事業企画を担当。奥様の実家で飼っている犬(通称:いぬさん)を溺愛している。
森村 優香
広報
2013年4月に新卒3期生として入社。営業職で入社するも初日に「広報やってみないか」と代表の金谷に言われ断れず、以降ずっと広報を担当。特に関西では金髪広報として有名。
お酒が大好きだが、意外と23時には寝ていたいタイプ。全国の地酒制覇を目指し、47都道府県への旅行を計画中。