弊社は保険代理店を本業としていますが、損保ジャパンさんの保険代理店をやっていることがきっかけで、akippaの代理店募集について3年ほど前に提案を受けました。最初は、駐車場の活用と聞いてもあまりピンときませんでした。この地域には土地も豊富にあるので道端に止めても許される感覚があったのが正直なところです。

でももしかすると保険の新規顧客開拓の切り口になるのでは？本業の補完ができるかもしれない、と思いやってみることにしました。 周囲から笑われたこともありましたが、やり始めると意外と面白かったんですね。
予約が入るとオーナーさんが喜んでくれるんですよ。売上単価は1日あたり数百円なので正直ほとんどお金にはならないのですが、空き地の有効活用に面白みを感じてもらえているんだなと思いましたね。

ただ、弊社でビジネスとしてやっていくためには売上をあげる方法を考える必要があります。どうやって売上単価をあげるかを考えていた時に、イベントがあるときに仕掛けたいと考えました。

私は諏訪で生まれ育って今も諏訪で会社を営んでいますが、諏訪湖の花火大会は毎年大渋滞と迷惑駐車がひどいイメージがあります。地元民としてもなんとかしたいと思い、以前より親交のあった諏訪市役所に2〜3年前に話を持ちかけました。最初は、コロナ禍の影響で花火大会の規模を縮小して開催していたこともあってか、市の担当者もピンときていなかったようです。しかしコロナ禍も終息が見えてきて、市の担当者が代わったタイミングで改めて提案をしてみました。4年ぶりの花火大会の開催ということもあって、そこから話が進み出しました。

大きく3つですね。
まず大きかったのはメディアでの周知です。6月にはakippaさんと一緒に記者会見と市長への表敬訪問をさせてもらいましたが、特に法人に対しては反響がありました。そのほか諏訪市の広報紙や商工会議所の会報誌でも幅広く告知をしてもらいました。

2つ目は、本業のほうで個人宅に投函される地域情報誌に広告を出しているのですがその一部を本件の告知に使ってみました。こちらは一般家庭からの問い合わせにつながりました。
最後は、土地勘がありますから、立地が良い場所には直接営業に行きました。

直接営業の中ではそれもありましたね。

法人は反応が大きく分かれました。
全面協力するといって複数台貸し出してくれたところと、やらないと断られたところがありました。
協力を得られなかった企業は、当日ご自分たちで現地で駐車場貸し出しをやっていたようです。どうやら、akippaに手数料が引かれる点をネガティブに捉えたようです。自分たちで看板を持って当日運営すれば人件費はかかるものの手数料はかからないので。

今年は1年目でしたから様子を見ていて、来年検討してくれる方もいるかもしれないですね。従来と比べて当日の車の流れも変わっていたので、手数料よりも人件費のほうが負担になるということであれば、akippaに登録した方が良いという話にもなるでしょうしね。

実際協力してくれたオーナーさんとは密にコミュニケーションをとっていましたが、皆さん「事前に予約が入って満車になると安心感がある」と仰っていましたよ。

ありますね。
大々的にメディアにも社名が出ることになったので、会社のブランディングにつながりました。この効果は大きかったと思います。
先ほど言ったように保険は真正面から「保険どうですか？」といってもなかなか契約には結びつきづらい商材です。お客様から必要とされないといけないので、こういったブランディングや地域に貢献できるような活動をやり続けることが同業他社との差別化にも繋がっていくのではないかと思っています。

まず前日の14日に各駐車場に目印となるカラーコーンやゴムボードを設置しに行きながら、壊れている箇所はないかなど点検を行いました。
一部の大型駐車場では誘導員の方に立ってもらいましたが、それ以外はあえて無人でやってみる挑戦をしました。将来的にスケールさせていくためには無人での運用が必要だと考えたためです。なので無人の駐車場でも利用者の方が困らないように準備をしました。

当日15日には、それらの駐車場で問題が起きていないかを巡回してみたのですが、どの駐車場も午前中はほとんど車がいなくて夕方頃から徐々に増えてきた感じでした。地元民からすると信じられなくて、「車が全然混んでいないけれど会場に人は入っている？」といった心配の声が知り合いからも出てくるほどでした。私は「駐車場は予約で満車です」と答えるだけでしたがね！

はい、少なくとも道は混んでいましたね。流れが悪くノロノロ運転する感じでした。それが今年は全くと言っていいほどなかったですね。

私の管轄していた駐車場では特にトラブルはなかったですね。強いて言えば、中型車までに限定していた駐車場に大型車がはみ出して止まっていた現場を目にしたので、そういうのは来年は改善できるようにしていきたいです。
akippaさんのほうにはトラブルは来ていましたか？

そうでしたか。
実は巡回している中で偶然ご利用者さんに会うことがあってお話をしたのですが、その方はキャンセル待ちの通知メールを見て予約ができたようです。「これで安心して花火が見られる」と喜んでいる様子でした。

翌16日は設置物の改修と壊れている箇所がないかの点検、ゴミ拾いをしに改めて巡回したのですが、驚くほどゴミがなかったんです。3袋で足りるか心配をしていたのですが、1袋目の1/4にも満たないほどわずかしかありませんでした。市の職員さんとも話していましたが、彼らも例年以上にゴミがなかったと驚かれていましたよ。
考えてみれば、予約した際に連絡先など入れているのでわざわざ汚して帰ろうという心理にはなりにくいですよね。予約がマナーの改善にも繋がっていると思います。

来年挑戦してみたいことは3つあります。
一つは、帰りの渋滞のコントロールに挑戦したいと思っています。構想段階ですが、具体的には近隣の駅前などに臨時駐車場を用意してパークアンドライドを促して交通量を分散したいです。
もう一つは、路上駐車や違法駐車が散見されたので少しでも減らしていく方法を考えたいです。こちらは市にもヒアリングしたいと思っています。
最後は、本業との連携の部分にもなりますが、『有料観覧席＋駐車場＋興行中止保険』のパッケージ商品の販売などもしてみたいです。今年は台風の影響で直前まで開催が危ぶまれましたが、そんな時でも安心してもらえるような商品です。今年は私1人で動いてまずはやってみましたが、来年以降従業員を動かしていくためにはビジネスとして成り立つかを考えていく必要があるので、そのようなことを思案しています。