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【akippaの軌跡】Vol.10(最終回) akippaのいま

新年明けましておめでとうございます。
駐車場予約アプリ「akippa(あきっぱ)」広報の石川です。
本年もakippaをどうぞよろしくお願いいたします。

【akippaの軌跡】と題し、2009年の創業からの波乱万丈な10年間を振り返っているこの企画。何度聞いても濃厚すぎて覚えられない弊社の歴史を、入社約半年の石川が、弊社代表で創業者の金谷と取締役の松井にインタビューを行い、全10回に渡りakippaの軌跡を振り返っています。

最終回のVol.10では、昨年2018年を振り返ります。

過去記事はこちらから
Vol.1 サッカー漬けの毎日から商売の道へ
Vol.2 社員3名から20名へ。創業2年目で急拡大させた理由
Vol.3 大阪と東京、2拠点での創業初期の組織づくり
Vol.4 テレアポでVCから資金調達 創業4年目でたどり着いた会社経営の考え方
Vol.5 “なくてはならぬ”をつくる
Vol.6 “ITの初心者たち”が作り始めたシェアサービス
Vol.7 “IT企業”への転身
Vol.8 事業の成長、組織の拡大
Vol.9 波乱万丈からの脱却

アキレス腱断裂で気づいたモビリティの不便さ

石川

いよいよ最終回、よろしくお願いいたします!
2018年、私も4月に入社させていただいて以降たくさんのニュースがあったように思いますが、最初の大ニュースはやはり金谷さんの怪我でしょうか・・?

そうですね(笑)年末年始休暇中にプライベートでやったフットサルでアキレス腱を断裂しました。手術をして、半年間松葉杖の生活を送っていました。出張も多い生活なので移動がとても大変で、当たり前に移動できていることの尊さを痛感する経験でした。

金谷

雑誌『AERA』で取材していただいている期間、左足にギプスをしていた

石川

9月に発表した駐車場シェアリングの競合Smart Parkingさんとの提携も、吉川社長と怪我の話で意気投合して駐車場シェア業界を”共創”したいと思い提携を決めたと仰ってましたよね。怪我の経験があって、提携以外でもakippaへの影響はありましたか?

これはakippaのビジョンに直結しましたね。怪我で移動し辛い状況の中で、仕事では頑張って新幹線移動もしていました。
ただ、プライベートでは多くのことを諦めました。ひとつはJリーグ王者と天皇杯王者が戦う『FUJI XEROX SUPER CUP 2018』にセレッソ大阪さんが出場することになってご招待していただいたのですが、行くことができませんでした。やっとセレッソがこの大会に出るところを見られると思っていたので悲しかったですね。
そしてその翌日には大好きなももクロのバレンタインイベントがあったのですが、これもチケットがあったのに行くことができませんでした。2日間行われたこのイベントは特別なものだったのです。前月にメンバーが抜けて4人での最初のイベントだったんですよね。やっぱりそこで空席を作ってしまったのは心苦しかったです。

いずれのイベントも、勇姿を『観たい』とか、応援するために『会いたい』という思いが強かったのですが実現できませんでした。なぜ実現できなかったというと『移動』が課題だったんです。会場はバリアフリーになってたり車椅子席を設けてもらっているのですが、そこまで移動するのが大変でした。他のももクロのライブで一度、みんなに協力して連れていってもらったことはありますが、協力なしでは難しかったです。
そんな時に改めて少子高齢化など様々な資料を見て、やはり地方から順番に運転できる人がどんどん減り、バスの路線が廃止され、タクシーも来ないという状況になっていることがわかりました。つまり『会いたい人に会う』とか『行きたいところに行く』ことさえもできなくなってきていて、それが高齢化により加速していきそうだと。
そんなことを役員メンバーに伝えた時に、「やっぱり人は、人とか体験に会うことって幸せなことで、これからも世の中に残していきたいよね」って共感し合ったんです。

これが今のビジョンである、
「あいたい」を、モビリティでつなぐ
というものに繋がりましたね。

金谷

石川

ユーザーレビューでも「足が悪くてこれまで出かけられなかった」といった内容をよく目にします。『「あいたい」を、モビリティでつなぐ。』の背景に、金谷さんの経験にも紐づいていると思うと重みがありますね。

改めて感じた「電気ってすごい」

石川

他に2018年の印象的なトピックスがあれば教えてください。

シェアゲートの発表、資金調達、それから災害の対応でしょうか。

金谷

石川

どれも5〜6月頃の出来事ですね。個人的にも4月の入社直後で、色々なことが目まぐるしく起きるな、と思っていたのを思い出します(笑)。それぞれのエピソードを教えていただけますでしょうか?

まずシェアゲートですが、Vol.9でお話しした「ドミナント戦略」により法人との提携を進めるにあたって、バーなどがついた無人のゲート式駐車場にもakippaを導入できるようにしないとスケールはしにくいと考えました。大手のビルや商業施設には常に現地係員がいるわけでもなく、バーやチェーンで制御されている駐車場が多いのです。これを開けるにはリモコンなどが必要で、そのリモコンを1回限りで利用するユーザーさんに渡しているとコストが合わない。では、スマホでゲートを開けられれば良いのではないかと考えました。
シカゴにQRコードで解決できる方法があると聞いて株主である住友商事さんの協力のもと視察に行ったのですが、コストが見合わず断念していました。その後、経営企画の井上が五反田にある株式会社アートさんというセキュリティの老舗企業と繋がりを作ってきました。アートさんとIoT機器を共同開発することができて、導入できる駐車場数が一気に増えました。セキュリティ会社さんなのでセキュリティも安心なんです。

金谷

石川

Bluetooth対応したシェアゲートはETCのような感覚で使えて、最初見たときはかなり感動でした!ぜひ現地か動画で見てもらいたいです!

※シェアゲート動画はこちら▼
https://www.youtube.com/watch?v=SVXVngiBH1c

次に、資金調達はこれまでも何度もしてきましたが、今回はakippaとの事業シナジーを重視して調達させていただきました。住友商事さんやニッポンレンタカーさんとはモビリティプラットフォーム構想を実現するためのID連携などを進めています。日本郵政キャピタルさん、JR東日本スタートアップさんには遊休地を貸し出していただいています。首都圏以外の注力地として大阪・名古屋・福岡があり、その地方ごとの有力企業社である千島土地さん、中部日本放送さん、FFGベンチャービジネスパートナーズさんからも出資していただいて、akippa駐車場の開拓を進めていただいています。累計では24億円の調達となりました。

金谷

石川

誰もが知っている大手企業から出資いただけることはユーザーさま、オーナーさまの安心感にも繋がりますし、ありがたい限りですね。

石川

災害に関しては、2018年の漢字に「災」が選ばれるほど災害の多い一年でしたね。6月の大阪北部地震は私も被災して「困りごと解決企業として何かやりたい!」とわがままを言わせていただきましたが、特に西日本は7月の豪雨、9月の台風と本当に災害続きでしたよね。

台風は、私含む社員が被害にあいました。電車も動いていなかったので社員の安全を考え自宅待機を許可したのですが、家が停電になり改めて「電気ってすごい」と思いました。こんなときこそ“困りごと解決企業”として何か支援すべきだということで、実際に避難所周辺の駐車場数百カ所を1日10円で貸し出しさせていただきました。

金谷

石川

2018年だけで3回の災害支援活動をさせていただきましたが、akippaの原点に立ち返る経験でもあったわけですね。

2018年のakippaの災害支援まとめはこちら▼
https://akipedia.akippa.co.jp/business/post-619

いろいろな営業戦略

石川

松井さんは2017年からずっと東京だけでなく大阪の営業立て直しもやられていました。いろいろな戦略で立て直しを図られていましたが、振り返ってみて印象的なエピソードがあれば教えてください。

組織面では大阪と東京が完全に分離していました。なのでそこのチームビルディングを行いました。具体的には部門長とマネージャーを立て、横割り型の組織にしました。密にコミュニケーションをとり物理的な距離を人力で埋めていきました
事業面では戦略に網羅性がなかったので、ターゲットを整理し、戦略をきちんと立て、愚直に数字を積み重ねていきました。本当にいろんなことがあったのですが、思い返すと基本的に苦労話ばかりですね。本当にやりづらかったなぁいろいろ(笑)でも結局やりきりましたね

松井

石川

営業の皆さんのおかげで、サービス開始時は700だった駐車場が今では累計25,000拠点。すごい伸びですよね!

累計拠点数は、2018年12月に25,000拠点を超えた

累計会員数100万人を突破!

石川

11月には累計会員数が100万人を突破しましたよね!ちょうどこの連載を始めるタイミングでもありました。

100万突破を記念し、特設ページも作成した

世の中にある色々なサービスがいつ頃会員数100万人に到達したか調べたのですが、akippaは約4年半で結構早い方だったんです。純粋に嬉しいのですが、全国のドライバー8000万人に対してまだ1%強なので、まだまだ伸びしろがあります!

金谷

石川

記念イベントは松井さんが指揮を取られていましたが、裏話を聞かせてください。

映画「ソーシャル・ネットワーク」で、Facebookの会員数が100万人に到達した瞬間にショーン・パーカーを中心に社内全体が盛り上がるという感動的なシーンがあるのですが、それをakippaでもやりたいとずっと思っていました。しょうもないこだわりだと思うのですが、この映画を見た2011年ってまだ本当に何もできなくて、100万人の会員がいるサービスを作ることなんて夢物語でしかなかったんです。それを自分たちができるようになるなんて感慨深いし、だからこそ印象に残したいなと思いましたね。こういうのは松井の得意分野でもありますし、ちょうど来期(2019年度)から組織の部分を松井にお願いするところだったので、松井にやりたいことを伝えました。

金谷

石川

2011年、東京Labo立ち上げの頃ですね。その頃からしたら、確かに感慨深いですね。
私も広報としても何か記憶に残るイベントをやりたい、けれど記者会見を2つ控えていて手がまわらない状態だったので本当に松井さんに指揮していただいてありがたかったのを覚えています。

まずは誰向けのイベントにするか?を考えました。 わかりやすくサッカーに例えてみると

・選手(プレーヤー):akippaの社員
観客(サポーター):akippa会員  →ここが100万人
・解説席あたり   :株主などのステークホルダー

となります。今回100万人を突破する「観客」を惹きつけるのは選手で、選手が魅力的で頑張ったから観客が来る。やはり選手である社員に感謝を伝えなければ、ということで、社員と(社員の活躍を支えてくれる家族)向けのイベントを、akippa発案者の藤野と東京にいる広報の石川の3人で企画することになりました。
まずは100万を達成する瞬間にお祝いできるのがベストですが、ヨミの精度が高まるほど業務時間外になる可能性が高く、2日に分けてイベントを実施することになりました。当日は残れる人だけ残って、東京ともテレカンを繋いでカウントダウンしました。金谷は会食でその場にはいられなかったので(笑)、代わりに僕が管理画面の更新ボタンを押して100万到達の瞬間を祝いました(笑)

松井

2018年11月7日20時前に、累計会員数100万人突破の瞬間を迎えた

ずっと憧れてきた管理画面が100万人になる瞬間を見れませんでした(笑)これは1,000万人や1億人の時にとっておけということでしょう!

金谷

石川

そうですね!1000万人の時にまたやりましょう!
翌日の社内イベントでは配布するノベルティもこだわりましたよね!

ビジョンやバリューが社内に浸透しきっていないと感じていたので、ノベルティのパーカーにはakippaのブランド・プロポジションである「PARK UP. anytime anywhere.」を入れました。社内外で着て意識してもらいたいので、かっこよく着られるようなデザインにもこだわりました。

松井

背面に大きく“PARK UP. anytime anywhere.”のメッセージ。
左腕にはakippaロゴのワッペン、フード部分にはONE MILLION USERSの文字と、こだわりの詰まったデザインとなった。

石川

皆社内で着ていて意識していますよね。記念のケーキもakippaのイメージがふんだんに盛り込まれたものが出来上がりましたし、狙いは成功でしたね!

最後に

石川

最後に一言、金谷さん、松井さん、それぞれから今後の意気込みをお願いします!

来期(2019年度)は、CHROとしてHRのミッションを持つことになりました。社員一人一人が”一秒でも長く、夢中になれる時間をつくる”ことができるように、楽しい時間を作っていきたいと思います。

松井

ここまで10年、社員や元社員、お客様、株主、支援機関と、関わる多くの人に支えていただいて、やってこれました。振り返ると、ここまではみなさんに幸せにしてもらう方だったのかなと感じます。次の10年は関わる全ての人たちはもちろん、全人類が少しでも幸せになるように、この会社をすすめていきたいですね。

金谷

石川

ありがとうございました!

今年2019年には創業10周年を迎えます。
この10年間に経験した失敗や成功を成長の糧に、akippaは今後も”なくてはならぬ”をつくってまいります。
最後までお読みいただきありがとうございました。

おわり。

■連載記事一覧
Vol.1 サッカー漬けの毎日から商売の道へ
Vol.2 社員3名から20名へ。創業2年目で急拡大させた理由
Vol.3 大阪と東京、2拠点での創業初期の組織づくり
Vol.4 テレアポでVCから資金調達 創業4年目でたどり着いた会社経営の考え方
Vol.5 “なくてはならぬ”をつくる
Vol.6 “ITの初心者たち”が作り始めたシェアサービス
Vol.7 “IT企業”への転身
Vol.8 事業の成長、組織の拡大
Vol.9 波乱万丈からの脱却
Vol.10(最終回) akippaのいま 

金谷 元気

代表取締役社長 CEO

1984年、大阪府生まれ。高校卒業後はJリーガーをめざし関西リーグなどでプレー。引退後から2年間は上場企業で営業を経験し、2009年2月に24歳で創業。2011年、株式会社へ組織変更し代表取締役に就任。

松井 建吾

取締役 CZO

1986年生まれ。大手通信キャリアの業務委託企業にて営業を経験し、2010年4月にakippaへ入社。2012年より取締役となり、akippa事業の新規創出や、各事業チーム・HRの立ち上げを歴任。現在はChief ZeroIchi Officerとして新規事業の立ち上げを担う。 事業・チーム・支社など何でも立上げる事を行う「ゼロイチ屋」。趣味は妄想。メタの上のメタを考えて大体いつも頭がぐるぐるになっている。

石川 絢子

広報

慶應義塾大学卒業後、インターネット広告代理店、グリーを経て2018年4月にakippaへ入社。グリー時代は新規事業立ち上げや管理系業務、広報など幅広く担当したが、現在akippaでは広報マネージャーを担当。
趣味は旅行で年間3回海外に行くことを目標にしている。